平成29年度本試験「小規模なリゾートホテル」総括

H29-1k_R_waku

 

受験生の皆様大変お疲れ様でした。ここに本試験解説を行うと共に、総括しておきたいと思います。


※ 解答例・解題については、再現図を送っていただいた方には、お送りいたします。再現図は3000円で添削しております。詳しくは、http://seizushiken.com/saigenzu-page まで。

※ 来期平成30年度製図試験.comのプロジェクトに関してはメールマガジンで配信します。http://seizushiken.com/mm/ まで


 

本試験の特徴

⓪ありえない配置図の出題形式

当初から配置図単独の出題するのかしないのかは議論がありましたが、最終的に平成8年度と同じ配置図出題となりました。しかし当初の出題形式でこの出題を予測するのはほぼ不可能だと思われます。なぜ当初からこのような出題が予想できたのかは未だ不明ですが、今回、この出題のために様々な配置図単独の出題形式をせざるを得なかったのは大変残念でした。

①例年に比較して難しかった本試験

さてこれまで本試験は、やってきた課題よりも平易であることが常だったのですが、昨年とは一変し、今年は本試験がそれなりに難しかったのではないかと思われます。製図試験comとしても、もう少し平易かとは思っていましたが、それなりに骨のある問題が出題されました。ただ平成21年以降、問題は受験生の負担にならない程度に平易にするということから考えると、そうではなくなりつつあると思われます。しかし難問かと言われると筆記量は多いですが、問題自体の難易度は高くなかったと感じました。

②多すぎる問題文

平成15年度「保育所のあるコミュニティ施設」の際、文字のポイント数が小さくなり、かつての問題文より1.3倍の文字数になったことがあります(その後、その文字数が標準となっていきました)。本年度の問題文はその時に匹敵する問題文の長さの変更だったと思われます。多すぎる問題文=解くのにとにかく時間がかかる=早く切り上げて、描き込み量勝負という判断ができたかどうか。

③読み間違いを誘発するひっかけ・新規記述

全編を通じて、今までとは読み間違いを誘発するような出題が見かけられます。屋外ではなく要求室としての露天風呂、設い、ゴミ保管庫、コンセプトルーム等、かなり盛りだくさんでした。面積計算にしても「ピロティなどで屋内的用途に供するもの(娯楽スペース、設備スペース、駐車場等)」は床面積に算入することになっていました。

④スパン設定・宿泊階設定の難しさ-35m2宿泊室間口4mで14室

間口4m指定は初めて、かつ35m2という室面積も初めての出題だったのではないかと思われます。室数が多かったため、4mx2で8mスパンを思いついた方、6mx8mや6mx7mスパンでまとめる=1-2階に客室を上下階でまとめることにした方、両方とも思い浮かばず、1フロアでまとめる原則で仕方なくTc型にした方に大きく3つに分かれると思います。

⑤廊下率が厳しい課題

解題を観ていただければわかると思うのですが、廊下率が非常に厳しい課題でした。(もちろんスパン設定にも寄りますが)ですからターゲットとして2800m2ギリギリになりそう、かつ機械室関連が地下1階指定などがあり、全体のバランスが取りにくい課題でもありました。廊下率の概念がない受験生は、なぜこの問題がプランしにくいのかは、気づくことができなかったのではないかと思います。

⑥外調機+ファンコイルユニット

この規模で、外調機+ファンコイルユニットが出題されました。常時湯水を使うホテルですが、知識としては一度解説してはいますが、まさか指定で出題されるとは。理解している方は問題なかったと思いますが、ノーマークだった方は辛かったと思います。

⑦軟弱な地盤面+要点記述

支持地盤が傾斜していることは容易に想定できたので、傾斜地盤に対応しつつ基礎をどう選択するのか、そのための記述をどうすべきなのかについては、想定内であったと思われます。ただし敷地配置図が、別紙になるとは思いませんでしたが。

⑧提案型コンセプトルーム

初出題でした。要は何でもよいので、利用用途を含めた建築計画の提案を行うという出題で「設い(しつらい)」という用語を使って、内部空間の提案も含めて行うものでした。

 

合否ポイント

<筆記量>

筆記量が多く未完が散見される課題となりました。恐らくランク4は2割程度になるのではないかと思われます。

<面積計算>

面積計算の間違いが多い年度だったのですが、さらに屋内的用途利用を床面積に算入することになっているため、相当数の面積間違いがあると考えられます。さらに建築面積も出題されましたが、車寄せキャノピーは告示を使って計算するのか、使わないまま計算するのかも不明で、このあたりも含めて、多くの面積間違い答案が続出するものと思われます。

<宿泊階>

宿泊階は、南及び南東に眺望がよいので、L型が配置の基準になります。TC型は北側に向けるため、セカンダリーベストになりますが、資格学校によってはTCしか教えていないため、TCの回答が非常に今年は多いことから、TCでの合格者も出ると思われます。8×8以外では宿泊室は1-2階となるでしょう。

<スパン>

70m2系ということを考えると、8×8が解きやすかったのではないかと思われますが、ほぼ使ったことのないスパンですよね。私も今回初めて使いました。あとは6×7、7×7、6×8くらいでまとめていると思います。

<動線計画>

湖畔⇔リラクゼーションスペース⇔トレーニングルーム・大浴場、 コンセプトルーム・地域ブランドショップと宿泊動線、
電気室及び機械室の地下1階指定、このあたりは読み間違えていると減点が大きいと考えられます。

<集団規定>

絶対高さ12m、北側前面道路から5m壁面後退、主要屋根2/10、建ぺい率60%等集団規定に当たってしまうと失格となる可能性大です。

<まとめ>

とにかく減点勝負になると思われます。できれば再現図を描いていただき、それを持ってまとめとしてください。全体的には完成度は低く、スカスカ図面合格もある可能性があります。


※ 解答例・解題については、再現図を送っていただいた方には、お送りいたします。再現図は3000円で添削しております。詳しくは、http://seizushiken.com/saigenzu-page まで。

※ 来期平成30年度製図試験.comのプロジェクトに関してはメールマガジンで配信します。http://seizushiken.com/mm/ まで


 

■製図試験.com対応

<対応できたこと>

・眺望2方向(第2・B課題)

・L型プラン(当初からかなり絞っていました:第3・6・7・B課題・シンクロニ模試)

・上下階分離型宿泊室(第1課題)

・傾斜支持地盤及び記述(シンクロニ模試)

・車寄せ+隣地駐車場アクセス(第7課題)

・B1で南側にアクセス(第2・7課題・シンクロニ模試)

・面積、廊下率厳しい(第4課題)

・配置図分離型(第4・7課題)

 

<対応できなかったこと>

・35m2宿泊室、70m2宿泊室、間口指定4m

・ピロティ下の面積算入

・外調機+ファンコイルユニット(講習会で触れたのみ)

・コンセブトルーム

・260m2大浴場

 

■総 括

1)スパンと宿泊階型

スパン決定+宿泊階L型+階振り分け。この3つについては「ステップで攻略するエスキース」のweb補講版において、ESTEP-00として解説してきたことを応用すれば解けたかと思います。ただ間口指定4m=8mスパンと判断できた方は意外と少なかったのではないかと言うこと、8×8以外であれば2階に収めきれず、1階に宿泊室がこぼれるため、セカンダリーベストとしてTcを選んでしまった受験生は多いかと思います。L型は基本中の基本なので本来はしっかり学んでいただきたかったですね。

2)多い文章量対策

敷地配置図が別紙になったのに問題文量が減らずに逆に増えたことは、来年以降どうなるのかわからないですが、当日大きな負担になったことは間違いなく、問題文を見た瞬間から、「これは早いとこまとめて描き込み勝負になる!」と判断できたかどうかが大きな分かれ道だったかと思います。

3)自身の判断でざくざくまとめる力の必要性

今回ほど、自身でルールを確認しつつ「判断してまとめること」が求められた試験もなかったと思います。意匠設計者としてはごくごく普段から行っている当たり前のことで、かつ社会人としては、多くの業務の場合、同じような経験をされているはずなのですが、この試験になると、受験生モードになってしまう方が多い。与えてくれるのを待っているコンシューマー(消費者)感覚ではダメです。自ら提案していくプロデューサー(生産者)プロバイダー(供給者)側の発想が不可欠です。話はしっかり聞く(問題文はしっかり読む)が、その上で自ら提案していく立場ですすめていくことが求められていると強く感じます。

ただし、独創性、創造性は求められていません。与えられた環境の中で、クライアントの意図をイメージ(想像)して、提案していく程度であり、実務から言えば基本中の基本ということになるかと思います。その練習を積み上げていくことが合格への最短コースだと再確認しました。

 

■最後に

これで平成29年度は再現図分析を残して全て終了となります。平成30年度に向けて、始動する前に、まずは再現図を作成し、一旦筆を置いて鋭気を養いましょう。家族友人と楽しいひとときを過ごしましょう。次の戦いに向けて。

 

製図試験.com 代表 山口 達也


※ 解答例・解題については、再現図を送っていただいた方には、お送りいたします。再現図は3000円で添削しております。詳しくは、http://seizushiken.com/saigenzu-page まで。

※ 来期平成30年度製図試験.comのプロジェクトに関してはメールマガジンで配信します。http://seizushiken.com/mm/ まで



 

 

Comments

comments

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ページ上部へ戻る