2021年「集合住宅」要点集by製図試験com 2021年9月23日版 はじめに:計画の要点が求めていること 1)日本語作文能力 2)建築計画(答案)についての文章説明能力 3)構造、設備、環境負荷低減についての知識の文章説明能力 4)図解能力 これらについて、単なる暗記ではなく、内容を理解して要点を説明しているのかを判断すると考えられます。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 1.住戸計画 住戸はパーソナル空間であるため、全てのキーワードは「快適性」「セキュリティ」に集約されます。「快適性に配慮して●●について▲▲した。」「●●を▲▲することで住戸の快適性に配慮した。」と書くとほぼどんな解答も可能となります。 元キーワード:快適性、セキュリティ(安心・安全性) →日照、採光、通風、プライバシー、遮音性、バリアフリー、ユニバーサルデザイン →開放性、(住戸からの)景観 ※セキュリティ、住戸設備は別途解説 要点例 日照/採光日照及び十分な採光を確保するために●側にバルコニーを設け、バルコニー先から隣地までの離隔距離を★mとし、住戸の快適性に配慮した。 ポジティブな2室1室採光:LDと洋室の間仕切りはオープンにできる引き戸とし、1室としても利用できるフレキシビリティの高い計画とした。 天井高さ:住戸階の階高を3.5mとすることで、2.4mの天井高と梁の露出しない快適な居住空間を創出した。 プライバシー:1階住戸のプライバシーに配慮して、1階床高さをGL+1000とした。 開口部:各居室は外部に面して開口部を設け、採光及び通風を確保し、開口部の面積を極力大き計画することで、室内の快適性に配慮した。 バリアフリー:住戸内は全て段差を設けない計画とすることで、安全性に配慮したバリアフリー化とした。UD:窓や扉には握りやすい大型把手を、スイッチ類も押しやすい大型のものを採用することで、誰もが使いやすいユニバーサルデザインとした。 高齢者・バリアフリー:将来の車いす対応を考え、ドアは引戸とし、玄関から直接居間にアクセスするリビングアクセスの間取りとした。キッチンや浴室についても車いすでの利用を考えたデザインを採用した。 遮音性:隣り合う住戸に音が漏れないよう、厚さ180mmのコンクリートの壁を採用した。 下階への遮音は、軽量床衝撃音対しては、床仕上げ材をLL-45仕様の遮音フローリングとした。 ちなみに床衝撃音レベル1級:LL-45 LH-50 です。 重量床衝撃音(LHeavy):子供の飛び跳ね重い音。コンクリートスラブが最も効果的で、かつ厚さは180mm以上、200mmが望ましく、浮き床やグラスウールを設けることでも効果がある。 軽量床衝撃音(LLight):コツコツという軽めで高音域の音。遮音フローリングやカーペット、畳などの仕上げ材で効果を得られる。? 2.住棟計画 住棟計画は、なぜその住棟計画を選択したのか、その選択理由と特徴、配慮した点が問われます。住棟タイプによってキーワードと解答を準備しておく必要があります。 また設問によって「基準階、住棟タイプ」等の文言が変わるので、単語は設問に合わせるようにしてください。 キーワード: 日照系:日照、採光、通風に配慮、開放性、景観、隣地配慮(向けたい方、向けたくない方)     セットバック、敷地境界線からバルコニー先端までの離隔距離(窓先空地) 避難系:避難計画、避難経路、階段配置、見通しのよい廊下計画 要点例 共通: 2ヶ所の階段を極力離して配置することで、重複区間が短く安全な2方向避難ができるように計画した。避難階となる1階では2つの避難階段から安全に道路まで避難できるよう、有効1.5m以上を確保した敷地内通路を計画した。 隣地向け採光時の言い訳:隣地である南側集合住宅とのプライバシーに配慮し、敷地境界から建物までの有効寸法が4m以上確保できるよう建物を配置した。また大きな開口部を計画することで、2階での居室の採光が確保できるよう配慮した。 ●I型:基準階は見通しの良い直線状の廊下形状とし、両端部に階段を設けることで、安全な避難経路の確保と重複距離の短縮化を図った。 ●L型:住戸を南西側、南東側に向けたL字型の住棟配置とすることで、各住戸に最も日照が得られる計画とした。北西及び南東の隣地側には十分な離隔距離を確保し、居室の採光にも配慮した。 また住棟に合わせて直線状の廊下とし見通しの良い避難動線を確保した。中央部及び端部に階段を設けることで重複区間が極力短くなるように配慮した。 ●TC型:バルコニーの開放性が高い道路及び公園側に住戸を配置するため、東側に4戸、西側に4戸計画した。建物中央部に光庭を設けることで各個室に自然採光を確保する計画とした。光庭から採光できない個室については北側又は南側に開口部を設け自然採光を確保する計画とした。 ●凹型:住戸数が多いことから凹型の住棟計画とした。各住戸の主採光面を南・東・西面に向け、生活の中心であるリビングに他の住戸からの視線が入らないようにすることでプライバシーが確保できるよう配慮した。 3.建築物タイプ別の動線・ゾーニング計画 建築物タイプ別の動線・ゾーニング計画については、住宅部門とそれ以外をどう分けるのか、つなげるのかが問われています。答案で描いているのでそれを説明するだけなのですが、h18型一部共用部行き来可、h27型共用エントランスから分岐、完全分離型(弊社第4課題)、の3タイプがあります。 キーワード:使いやすさ、わかりやすさ、セキュリティ、動線分離 要点例 ●h18型:動線の分離と明確性+利便性 出入口をわかりやすくするため、住宅と商業施設部分のエントランスホールの距離は離し、デザインも変更した。と共に各々のエントランスホールで行き来できることで双方の利便性に配慮した。 居住者が利用するエリアは南東側にまとめ、居住者以外も利用するエリアは北西側にまとめることで、明確に区分するゾーニング計画とした。 ●h27型:動線分離、セキュリティ 共通するエントランスホールから、住宅部門のエントランスがわかりやすいよう配置とした。また住宅部門の出入口にはオートロック・監視カメラを設けセキュリティにも配慮した。 ●完全分離型:動線の分離と明確性+主従関係 不特定多数の利用者が訪れる公共施設については、幅員の広い北側道路の正面中央部に出入口を設け、利便性と視認性に配慮した。一方集合住宅の出入口は、特定の居住者用出入口であるため、北側道路の西側からのアプローチとし、動線を明確に分離した。 4.セキュリティ+エントランス周り計画 エントランス周りは、管理人室による人的セキュリティかオートロック等が掛かっています。そのため、それについての理解+駐車場、駐輪場、ゴミ置き場、集会室、別施設、広場等へのアクセスについて、説明を求められる可能性があります。 キーワード セキュリティ、利便性:使いやすさ、わかりやすさ 要点例 住宅部門の主出入口は、風除室の内側にオートロックを設置し、屋内駐車場からの出入口にはホテル錠を設置することで、セキュリティに配慮した。 屋外階段についても地上の出入口にホテル錠を設置し、外部からは容易に入れないようセキュリティに配慮した計画とした。 住宅部門に関連する駐車場、駐輪場、ごみ置場は西側に計画したアプローチに関連づけてエントランスホール横に配置し、利便性を高めた。特にごみ置場は回収を考慮し道路に面して配置した。 管理事務室は居住者の出入りを確認しやすいように、各出入口を見渡せる計画とした。 5.外部計画 外部計画については、@アプローチ計画、A建築物の配置計画、B外構計画、C景観計画の4つがあります。全て同じ建物の要点なのですが、求められていることが全く異なるので注意が必要です。 @アプローチ計画(わかりやすさと使いやすさと安全性) ・住宅部門と非住宅部門のアプローチ位置と動線分離 ・アプローチの歩車分離 ・車いす駐車スペースからのアプローチ A建築物の配置計画(建物をどう置いたのか。住棟配置計画を含む場合もあり) ・積極的配置条件(開放性、景観、外部の取り込み、日照など) ・消極的配置条件(隣地配慮、生け垣、フェンス、セットバック+セットバック距離) ・4方向まんべんなく書くこと。(東西南北全て書くこと) B外構計画(外構をどう計画したのか。Aとは図と地の関係) ・広場系の配置(近隣利用可能/施設利用者対象/居住者のみ対象) ・駐車場、駐輪場の配置(利便性) C景観計画(外からどう見えるのか) ・形状、材料、形、セットバックによる圧迫感の配慮 要点例 集合住宅利用者の主要なアプローチは、幅員が広く歩道のある北面道路側からとすることで利便性に配慮した。駐車場は東側にまとめ歩行者アプローチと明確に区分するとともに、駐車場用のサブエントランスを設けアクセスしやすい動線計画とした。 住棟については、1階住戸の有効採光が確保できる距離まで南側に寄せて、敷地北西側に駐車場スペースを配置した。 広場は、居住者専用のエリアと地域住民も利用できるエリアに囲まれた建物の北東に配置し、居住者と地域住民が交流できるコミュニティスペースとして計画した。ベンチや植栽を設置することで、人々が集いやすい屋外空間とした。集会室と行き来できる計画とすることで、屋外のイベントスペースとしても利用できるよう配慮した。 6.非住宅部門の計画 非住宅部門の集会室や商業施設等の計画理由については、利便性、視認性、動線分離、開放性、賑わいで解答できるはずです。 要点例 共用部分の便所は、居住者以外も利用するエリアの多目的ルームに近接した位置に計画することで、地域住民が利用しやすい計画とした。 カフェは交差点側に配置し、周辺からの視認性に配慮するとともに、賑わいを創出する計画とした。開口部は、南西側に設けることで、明るく開放的な空間となるよう配慮した。歩道からカフェテラスを介して直接アプローチできる計画とすることで、地域住民の利便性に配慮した。 子育て支援施設は1階南側にまとめて計画することで、公園を取り込み、接地性と共に快適な環境となるよう配慮した。玄関に下足箱を設け、履き替えを1箇所で行う計画とすることで、利用しやすい動線計画となるよう配慮した。 地階に計画する住居者用駐車場への車路は、その傾斜部を含む必要長さから西側道路とした。指定の有効幅員(5.5m以上)、勾配(1/6以下)、梁下高さ(2.3m以上)のほか、入庫・出庫時の安全性に配慮し、乗入部に5m以上の平坦部を設けるようにした。(なくても可)建築物のスペースを有効に活用できるよう、傾斜部を含む車路は屋外に計画した。(屋内でも可) カフェは南側に配置し、子供の遊び場として地域住民が日常的に憩う河川敷から視認しやすい計画となるように配慮した。ギャラリーは北側に配置することで歩道を歩く地域住民がアクセスしやすい計画となるように配慮した。 ? 7.構造の知識 構造については次の7点がこれまで出題されています。 @主要構造 構造種別は耐震性、耐久性、遮音性に配慮し鉄筋コンクリート造とした。 架構形式は靭性に優れたラーメン架構を採用した。 架構形式は、戸境壁部分に廊下もしくはバルコニーといった大きな開口を設けるため、耐力壁付ラーメン構造は採用せずラーメン架構とした。(Cfで後述) スパン割りは7mの均等スパンとすることで架構の安定性・施工性に配慮した。 スパン割りはX方向を7m、Y方向を6m及び7mとし、バランスが良く安定性の高い架構となるように配慮するとともに、柱1本当たりの負担面積が過大とならないように配慮した。 主要な部材の断面寸法(mm)大梁500×800 小梁300×600 柱800×800 外壁t=200 同一寸法の言い訳:5階建ての建物規模及び重量を考慮して各階同一寸法とし、余裕のある部材断面寸法とすることで安全性に配慮した。 スラブの厚さは遮音性に配慮して200mmで計画した。二重床で計画することで床上配管が可能となるように配慮した。小梁の配置は住戸の共用廊下側の外壁及び間仕切り位置に合わせることで、外壁のRC壁を安全に支持するとともに、居室の天井高に影響のないように配慮した。 A基礎 基礎は不同沈下が起こりにくくて安定性が高く、かつ設備ピットとしても活用できるべた基礎とした。 経済性を考慮して掘削度量の少ない独立礎とした。基礎の根入れ深さは、砂礫層の深度、地下水位及び経済性に配慮し、G.L.-2m(支持地盤-200〜500)に設定した。 支持地盤(N値30以上の砂礫層)がGL-5mと深いことから、ベタ基礎の底盤までを地盤改良する計画とした。 既存建築物撤去範囲の埋戻し部分は、地盤強度が不明なため、基礎下から深さ4mまでを地盤改良を行い、不同沈下に対処できるものとした。 B大空間 大空間は14m×11mの無柱空間で計画し14mの長スパンはたわみやひび割れに配慮してプレストレストコンクリート梁とした。またプレストレストコンクリート梁を支持する柱は800×800とし、配筋量を増やすことで応力を安全に伝達できる計画とした。 10mスパン大梁はスパンの1/10の梁せいを確保し、500mm×1000mmの断面寸法で計画した。スラブのクリープに配慮し、梁に囲まれたスラブ部分が30m2以下になるよう小梁を配置した。 Cスラブ、キャンチレバーの考え方 バルコニーは片持ちスラブとし、突出長さの2mの1/10の厚さを確保し、200mmで計画した。(もしくは) バルコニーは小梁を設けず、片持ち寸法を2m以内とし、スラブをダブル配筋とすることで、ひび割れやたわみ等に配慮した。 D耐震等級 耐震等級(倒壊等防止)において、耐震等級1のきわめて稀(数百年に一度程度)に発生する地震力に対して倒壊しない程度の基準に対し、その1.25倍の評価基準となる耐震等級2として計画した。 E構造計算ルート ルート3:ルート1からルート2までの計算ルートに比べ、建築物の耐震性能を詳細に評価できるルート3を採用し、保有水平耐力と必要保有水平耐力の比較を行うことで、大地震時の地震動に対する安全性を確保する計画とした。 Fその他 土圧や水圧を受ける地下外壁の厚さを300mmとし、土圧や水圧に対して十分な耐力を確保した。漏水や結露対策として、外壁は二重壁とし、二重壁内の浸入水を排水するための湧水ピットを地下ピットの床に設け、浸入水を湧水ピットへと誘導できるよう、地下ピットの床スラブには、適切に水勾配を設けた。 Cf:耐力壁付ラーメン記述 @住戸の開口部等を考慮しY方向のみに耐力壁(開口部不可)を設けた。 A1階での局部破壊が起こらないよう最上階から最下階まで連続する連層耐力壁を設けた。 B建物の重心と剛心を考え、平面的に耐力壁の配置バランスが良く、大きな偏りがないよう配慮した。 Cf:純ラーメン架構問題 耐力壁を使わないラーメン架構を採用しているため、柱のせん断破壊を防止するため垂れ壁や腰壁との間にスリットを設け、短柱にならないように配慮し、柱は、曲げ降伏先行となるように、帯筋を密に配筋した。 L型の平面形状としたことから、重心と剛心が隔たり、入隅部周辺の接合部には回転・圧縮・せん断等の応力が集中するため、周辺部の部材の断面寸法を大きくし、鉄筋量を増やした。 8.設備の知識 @電気設備:自家発で20m2、変圧器等も含めて40m2程度用意する。 集合住宅用変圧器の配置(機器:1x2でメンテナンス含め3x4程度、地上屋外もしくは電気室) 屋内消火栓用自家発電設備:原動機(ディーゼルエンジン、ガスタービン等)、発電機、制御装置等によって構成される A給排水衛生設備 給水方式:水道直結増圧方式 採用した理由:ポンプ直送方式も考えられるが、受水槽の設置スペースが不要であり、水質低下の恐れも少なく、水道本管の水圧を利用できる省エネルギー性のメリットも高いため採用した。 ポンプ直送方式 水道本管への負担の少なく、断水時には受水槽内の水が利用可能となるため、受水槽を利用するポンプ直送方式とした。メンテナンス用に受水槽の周囲には十分な点検スペースを設けた。 住戸内配管 各住戸のメーターボックスは、共用廊下に面して設け、水道、ガス、電気の検針ができるように配慮した。各住戸のPSは水回りに近接した位置に設けるとともに、下階への漏水防止及び騒音対策を考慮し、乾式二重床によるスラブ上の配管とした。 共用縦配管 パイプシャフトは、水廻りに近接して配管することで、配管ルートの短い経済的な計画とするとともに、維持管理のしやすさに配慮した。また排水系統は基準階と1階を別系統とすることで、逆流防止に配慮した。 B空気調和設備 住戸内:ルームエアコン+全熱交換器による24時間換気(第1種換気) ルームエアコンは空冷パッケージエアコンの中でもイニシャルコストが安く、個々人の生活パターンに合わせた個別運転や制御が容易であることから同方式を採用した。また換気は環境負荷の小さい全熱交換器を用いた24時間換気を採用した。(パーツ集の図参照) 第3種換気:24時間換気に対応する換気扇は、湿気が他室へ流出しないよう浴室に計画した。給気口は24時間対応の換気扇から極力離れた各居室の外気に面する部分に設けることで、効率的な換気ルートが確保できるよう配慮した。通風経路に設ける建具は、アンダーカットのある開き戸やスキマのある引き戸や引き違い戸とすることで、適切な通風経路となるよう配慮した。 共用部:エントランスホールは同型の天井カセット型を設置することでメンテナンスを容易にし、かつホール内の温熱環境が均一となるよう配慮した。 一般要求室:空冷ヒートポンプパッケージ方式の天井カセット型を採用することで、個別に制御しやすい計画とするとともに、維持管理及び更新が容易な計画とした。換気設備には全熱交換器を採用し、外気導入による熱損失を少なくすることで、省エネルギー性に配慮した。 暖房時の上下温度差の解消やコールドドラフト防止、ウイルス対策の加湿が行えるシステムとする。 新型コロナウイルスの対策として全熱交換器を採用し、常に換気を行いつつ、外気導入による熱損失を少なくすることで省エネルギー性にも配慮した。 共用部吹抜:吹抜け部分は外気流入による室温変動が大きいことから、1-2階のスパンドレル部分から吹き出す天井隠蔽ダクト接続型を採用した。屋外機は南西側の地上に設置し、十分なスペースを確保することで、維持管理や更新のしやすさに配慮した。 大空間:天井高さが4m以上と室の気積が大きいことから、吹出口を天井に設置し、かつ吸込口は隣接した空調機械室の床面付近に設置することで、ショートサーキットを防止した。また垂直方向の温室度分布の偏りを抑制し、居住域が適切な温熱環境となるように配慮した。加えて外気からの熱負荷の影響を考慮してペリメーターゾーンに吹出口を多く配置することで、熱負荷の変動に対応できる計画とした。 C昇降機(共に2mx3mシャフト) 住宅用:13人乗り 1100x2000  一般用:11人乗り1400x1350(円滑化基準) オーバーヘッド3000(できれば3200ですが、階高さ3mでは不可)、ピット深さ1250 D設備シャフト MB内には、強電(住戸用電力)用ケーブルと各住戸用電力メーターを設置し、住戸へのケーブルが短くなるように玄関の横に配置した。また省スペースを考慮し、電話、テレビ、インターネット等の弱電用ケーブル、端子盤等もMB内に計画した。 各住戸のメーターボックスは共用廊下に計画することで検針がしやすい計画とした。 PSは水廻りに近接して設け、住戸内はスラブ上配管とする事で漏水防止に配慮した。 排水系統は基準階と1階を別系統とすることで、逆流防止に配慮した。←これ重要! 地下1階の雨水排水は、地下ピットに一時貯留し、ポンプアップして排水する計画とした。 EPSについては、1階は共用部に設けることで、維持管理しやすい計画とした。 E設備スペース 電気室及びポンプ室は東側にまとめて配置するとともに、外壁側に扉を設けることで維持管理及び機器の更新のしやすさに配慮した。 空調機械室には、管理ゾーンからの出入口を設け、維持管理のしやすさに配慮した。 共有部分の空調屋外機は1階の屋上に配置し、ゆとりのあるスペースとすることで、日常のメンテナンス時の作業のしやすさに配慮するとともに、更新時の機器のサイズ変更にも対応しやすい計画とした。 MB:各住戸のメーターボックス内に水道、ガス、電気メーターを共用廊下に面して設け、点検及び検針のしやすさに配慮した。住戸毎に個別使用する給湯器をメーターボックス内に設置し、給(排)水やガスのパイプスペースを兼ねることから十分なスペースを確保し、維持管理、更新のしやすさに配慮した。 F給湯設備:ガス給湯設備:熱源の汎用性や初期コスト、維持管理・メンテナンス性に優れているため 設置場所:バルコニーの設置に比べ、給湯機への給水配管、給湯箇所への給湯配管が短縮でき、開放廊下で排気についても問題ないことからMB内に設置した。 HP式給湯設備:環境負荷低減に配慮して、エネルギー効率の高いヒートポンプ方式給湯器を採用した。 設置場所:熱源機は大気の熱を利用するために、屋外であるバルコニーに貯湯タンクと共に設置した。 G管理事務室 管理事務室には、警報表示盤や監視モニター、電気錠制御盤や自動火災報知設備など、集合住宅の防犯や維持管理を目的とする機器や装置が多数配置されるため、それらを設置する幅3m高さ2m程度の壁面を確保できるよう考慮した。(賃貸の場合はエントランスホールにつけてるケースが多い) Hセキュリティ設備 監視カメラは、エントランスホールや駐車場等に設置し、敷地内にいる不審者を管理事務室内のモニターから24時間監視することで、居住者の安心安全を確保できるよう配慮し採用した。 集合住宅用インターホンを設け、各住居とカラー画像付き同時通話(オートロック方式)にて、風除室より内部に不審者を入室させない計画とした。 9.環境負荷低減他 外壁・屋根等には十分な厚さの断熱材を施した。 断熱サッシュを採用することで、開口部からの熱損失及び結露の防止を図った。庇・バルコニーは奥行きを2m確保し、開口部からの夏期の日射流入量を軽減する計画とした。 便所や階段等には人感センサー付きの照明器具を採用することで、必要に応じた点灯制御を行うとともに、消し忘れ防止と省エネルギー化を図る。加えて照度センサーを用いて窓付近の昼光による明るさにより、照明照度を下げて照明の電力消費量を抑えることにより、省エネルギー化を図る。 給排水衛生設備については、センサー付手洗器を設備し、水の止め忘れ等を防ぐことで節水を図り、省資源に配慮する。 屋根スラブを積極的に緑化することにより、屋上からの日射熱の流入を抑制するとともに、夏期における冷房負荷の低減を図ることで環境負荷低減を考慮した。開口部には、高断熱・高気密サッシ及びLow-E複層ガラスを採用することにより断熱性能を向上させ、冬期における熱損失を低減するとともに、夏期における冷房負荷となる日射熱を抑制するよう考慮した。 10.SDGs関連 2030年までに都市に住む人が環境に与える影響を減らすという目標、かつ気候変動を緩やかにする目標のために、雨水排水をピットに貯め散水利用すること、太陽光発電を使って、化石燃料等での電気使用量を減らすこと、さらにライフサイクルコストを念頭に永くこの建築物を使えるようにメンテナンス計画を立てた。 ※11-6:2030年までに、大気の質やごみの処理などに特に注意をはらうなどして、都市に住む人(一人当たり)が環境に与える影響を減らす。 ※13-3:気候変動が起きるスピードをゆるめたり、気候変動の影響に備えたり、影響を減らしたり、早くから警戒するための、教育や啓発をより良いものにし、人や組織の能力を高める。 11.法令関係 面積区画は各階ごとに耐火構造(耐火建築物)の床・壁による水平区画とし、各区画面積が1,500m2以下となるように計画した。・ 堅穴区画として階段、エレベーターを区画し、面積区画を兼ねる部分もあるため、耐火構造の床・壁及び特定防火設備により区画を行うものとした。 区画を貫通する配管等は、所定の区画貫通処理をした。 12.バリアフリー(円滑化基準なのか、円滑化誘導基準なのかが重要) @住戸以外の床については、段差のない計画とし、バリアフリーに配慮した。 A日常使用する階段は、建築物移動等円滑化誘導基準の規定寸法を確保した。 Bエントランスホールには、オストメイト対応の多機能トイレを設置した。 多目的便所の寸法 出入口の有効幅員は、80cm以上し、出入口の扉は、自動的に開閉する構造とした。 便房には、各設備を使用でき、電動車椅子使用者が360°回転できるよう、直径180cm以上の円が内接できるスペースを設け、かつ便房の内法寸法は、200cm以上×200cm以上とした。 13.災害対策 長時間の停電に対応できる蓄電池設備を設けバックアップ電源とする。 給水方式を受水槽方式の一つであるポンプ直送方式とし貯水分の給水を可能とする。 住戸の居住者数等を考慮し、食料や飲料水を備蓄倉庫に備蓄する。 室外機などの主要な設備機器には防振架台を採用し、配管には可動継手などを用いて、地震時の変位に対応できる計画とした。 その他ポンプ等の機器については、設備基礎にアンカーボルト等で緊結するとともに、ワイヤーでも固定し、転倒防止に努めた。