練習しているのに手応えがない方へ※学習構造に関する【解説記事⑧】
思考を言葉にする練習
前回の記事では、練習しているのに手応えが残らない理由として、
- 判断条件(jud)
- 成立条件(det)
この二つが噛み合っていない状態を整理しました。
今回は一歩進んで、
その判断条件を、どう整理し、どう鍛えるのか
という点を扱います。
「センス」ではない判断条件
判断条件という言葉を使うと、
「感覚的なもの」「才能に近いもの」と感じる方がいます。
ですが、製図試験comでは、判断条件をセンスとは考えていません。
判断条件とは、
・何を優先したか
・何を安全側と判断したか
・どの選択肢を捨てたか
こうした選択の基準の集合です。
これは本来、言葉にできるものです。
私の師匠、岡部憲明さんは、
「建築(理屈で成立している部分)は言語化できないと成立しない」とよく話してくださいました。
私もあなたにこの言葉を贈りたいです。
整理されていない判断条件の特徴
判断条件が整理されていないと、
練習後の振り返りは、次のようになりがちです。
- なんとなくうまくいった
- 全体的にまずかった
- 次はもう少し丁寧に描こう
この振り返りでは、何も積み上がりません。
なぜなら、
・どの判断が良かったのか
・どの判断が曖昧だったのか
が、分からないからです。
判断条件を整理する第一歩
判断条件を整理するために、
まずやるべきことは、とても単純です。
一枚の図面につき、
「一番大事にした判断」を一つだけ言葉にすること。
たとえば、
- 動線の交錯を最小限にすることを優先した
- 余裕のある配置を最優先にした
- 将来の拡張より、当日の使いやすさを重視した
完璧である必要はありません。
一つでいいのです。
この一文があるだけで、
練習の質は大きく変わります。
なぜ「一つ」でいいのか
判断条件を複数並べようとすると、多くの人は混乱します。
判断は本来、すべてを同時に満たすものではありません。
何かを取れば、何かを捨てています。
その取捨選択こそが、判断条件の本体だからです。
そのため、「今回はこの判断を優先した」
と、一つ言えることが重要なのです。
振り返りで鍛えられる判断
判断条件は、描いている最中よりも、
振り返りの中で鍛えられます。
振り返りで見るべきなのは、
- 図面の良し悪し、ではなく、判断の使い方
です。
具体的には、
・その判断を選んだ理由
・他の選択肢をなぜ捨てたのか
・結果として何が起きたのか
ここを言葉にします。
これができるようになると、
次に同じ場面が出てきたとき、
判断が早くなります。
添削を見る視点も変わる
判断条件が整理されてくると、添削の見え方も変わります。
赤が入った場所を見て、
「直された」ではなく、
「この判断は、成立条件としては弱かった」
と考えられるようになります。
これは、
自分の判断を否定されたのではなく、
判断の使い方を修正する視点です。
この視点があるかどうかで、
添削の価値は大きく変わります。
判断条件が鍛えられてくると起きる変化
判断条件として整理され始めると、
次のような変化が出てきます。
- 課題文を読んだときに、
どこを最初に考えるべきかが見える - 迷う時間が減る
- 図面全体に、理由の通った一貫性が出る
派手な変化ではありません。
ですが、確実に
「考えながら描いている感覚」
が戻ってきます。
次に扱うこと
ここまでで、
- 判断条件は、整理できる
- 判断条件は、鍛えられる
というところまで来ました。
次の記事では、その判断条件を、
どうやって成立条件に変換するのか。
つまり、思考を評価に通すための考え方を扱います。
ここが、製図試験comの中で一番重要な部分となります。
