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一級建築士製図試験の“悪意”=減点の罠を見破るマインドセット

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問題文をそのまま素直に読むということについて

一級建築士の設計製図試験において、「問題文に従って計画する」という基本姿勢は当然です。しかし実際の試験は、ただ問題文通りに素直に設計しただけでは合格しにくいように問題が作成されているという厳しい現実があります。

製図試験が「減点方式」であるという点について、多くの受験生は表面上理解していますが、その視点で読解できているとは言い難い。
具体的には、減点となるポイントは受験生の“ステレオタイプ的な思考”をあえて狙っている、いわば「悪意ある出題」になっており、その点が見過ごされているということです。

減点方式という罠

製図試験は加点方式ではなく、「不備があるか」「条件を満たしているか」を評価する形式といわれています。つまり、完璧に描いたと思っても、たった一つの見落としで失点から不合格につながる可能性があるのです。

たとえば以下のようなパターンは非常に典型的です。

  • 「多目的ホールの出入口が竪穴区画対象」で「防火区画抜け」とみなされ失格
  • 「階段の寸法が有効寸法を満たしていない」ことで、バリアフリー法を満たしていない
  • 「300m2以上の講堂」を約300m2と読み間違え292m2で計画してしまった

これらは、問題文の意図に対する“読解”が足りないことで起こります。つまり、「減点されるポイントに自分から近づいてしまっている」わけです。

悪意の存在を前提に読む

ここで提案したいのが、「問題文には悪意がある」という前提に立つことです。これは決して陰謀論とかではなく、採点側が“ふるい落とす”ために仕掛けている構造に気づくという意味です。

その視点で読解してみると、わざわざ誤読を誘ったり、ちょっと意味不明な表現だったりすることで、受験生のペースを乱すような出題が散見されます。

具体的にはわざわざ「新出」「曖昧」「複雑」にしている表現があります。

  • 「観たことない表現」は、意外にこれまでの解答の延長線上にあることが多い
  • 「いつもと異なる表現」は、いつもと異なる解答を要求しているヒントとして読解する
  • 「わざと曖昧に書いている表現」は、自ら選択肢を想定して解答する
  • 「絶対的な要求条件(例:避難距離)」と「相対的な配慮条件(例:交流促進)」の優先順位を読解する

このように「新出」「曖昧」「複雑」の裏にある意図(悪意)を読み、その優先順位を理解することで、減点を避けることができるようになります。

問題文を「逆に利用する」マインドセット

「減点されないように計画する」というのが基本姿勢ですが、採点側が準備した問題の“悪意”はそのまま、合否採点のポイントになるということを利用して、逆に自分の合格につなげるという発想を持って、問題文に臨みましょう。

たとえば以下のような設計判断がこれに該当します。

  • 複雑な動線が要求されそうな場合、「あー、そこを狙ってきたんだね」
  • 要求室でのあいまいな表現について、「なるほど、ここでブレさせようとしているんだ」
  • 「◯◯m2以上」「庇下部は面積に含まず」「塔屋部分を破線で示せ」等の今までにない指示があれば、「あーあ、ここで見落としさせようとしているんだ」

というように判断するマインドセットです。
これは「問題文に奴隷のように振り回される」のではなく「採点の悪意のロジックを発見して逆に利用するという」技術とも言えます。

ユーモアと共に構える余裕

製図試験で多くの受験生は、極限状態での判断力を問う、と勘違いしています。それでは本当の判断力が発揮できません。極限状態だからこそ、真剣に考えるだけでなく、少しユーモアや客観視できる余裕も持ってほしいと思います。

たとえば「この問題文の表現は、ここで不合格になる受験生が多発する悪意を感じるな、フフ」と笑ってみること。それだけで、無駄に焦ったり、力みすぎて頭が働かなくなることを防げます。

私が実際に指導した受験生の中にも「問題文には悪意があると疑って読むようにしただけで合格ラインが見えた」という方が何人もおられます。

冷静に、構えて、そして問題文にツッコミを入れながら計画していきましょう。


悪意を味方に変える術

一級建築士の製図試験において、問題文は“攻略されるためにある”と言っても過言ではありません。表層的な問題文の裏側にある「悪意=罠」に気づき、それを味方につけたとき、あなたは既に合格圏にいます。
受験での不安を乗り越える鍵は、悪意ある問題文を味方につけるマインドセットなのです。
製図試験comでは、このイメージを強く持っていただけるよう日々添削指導しています。

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