zoom経由で撮影したら音声があまりよくないです・・・。慣れないことはしないことです。
添付資料はここをクリック→siryo20200722
令和2年一級建築士試験「設計製図の試験」の課題
課題名「高齢者介護施設」
要求図書 1階平面図・配置図(縮尺1/200)各階平面図(縮尺1/200)
※各階平面図については、試験問題中に示す設計条件等において指定します。
断面図(縮尺1/200) 面積表 計画の要点等
(注1)居宅サービスを行う施設及び居住施設で構成する建築物の計画とする。
(注2)バリアフリー法に規定する特別特定建築物の計画とする。
(注3)建築基準法令に適合した建築物の計画(建蔽率、容積率、高さの制限、延焼のおそれのある部分、防火区画、避難施設 等)とする。
建築物の計画に当たっての留意事項
・敷地の周辺環境に配慮して計画する。
・バリアフリー、省エネルギー、セキュリティ等に配慮して計画する。
・各要求室を適切にゾーニングし、明快な動線計画とする。
・建築物全体が、構造耐力上、安全であるとともに、経済性に配慮して計画する。
・構造種別に応じた架構形式及びスパン割りを適切に計画するとともに、適切な断面寸法の部材を計画する。
・空気調和設備、給排水衛生設備、電気設備、昇降機設備等を適切に計画する。
注意事項
「試験問題」及び上記の「建築物の計画に当たっての留意事項」を十分に理解したうえで、「設計製図の試験」に臨むようにして下さい。なお、建築基準法令や要求図書、主要な要求室等の計画等の設計与条件に対して解答内容が不十分な場合には、「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合」等と判断されます。
課題解説
平成27年以来5年ぶりのシルバー案件です。高齢者介護施設ということで階数、介護施設内容は曖昧にしていますが、試験対策側からは想定範囲内の出題と考えてよいでしょう。
□2階平面図はあるとして、3階平面図になるのか、基準階平面図になるのかは当日勝負となります。
□居宅サービス+居住施設ということですが、居宅サービスには、訪問看護ステーション、デイサービス(デイケア)、ショートステイくらいまでが含まれます。
居住施設には、特別養護老人ホーム/介護老人保健施設/養護老人ホーム/軽費老人ホーム(ケアハウス)/介護付き有料老人ホーム/住宅型有料老人ホーム/健康型有料老人ホーム/サービス付き高齢者住宅(サ高住)/グループホームの9種類が考えられますが、老健、サ高住は出題済み、グループホームは規模感が異なるため、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)、有料老人ホームの3種類に絞られます。またそれぞれは似通っており、4人室か個室かで分ければ要求室の違いはあれど、それほどバリエーションがあるわけではないです。
□注3)以降はほぼ昨年と同じ内容となっています。
課題解題
本年度課題を攻略するにあたってのポイントを4点まとめました。
1.高齢者介護施設の役割と機能の理解
居宅サービス(訪問介護、デイサービス、ショートステイ)の内容、及び、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)、有料老人ホームの基本的な機能の把握が不可欠です。高齢者施設の大きな特徴は予約した高齢者しか利用することができない非常に特殊な会員クラブのような利用形態です。この部分が大きく公共施設とは異なります。
2.高齢者介護施設の計画の理解
生活する機能が衰えたり、衰え始めている高齢者のための住まいだと理解するとその理解が深まるはずです。住宅を計画するように考え、かつ、集団で行動・居住するイメージの上で建築計画を理解することです。
3.時代背景から想定されるニーズへの対応
サービス付き高齢者住宅(サ高住)が落ち着き、最近は住宅型有料老人ホームが増えてきています。そういったニーズや、最近の防災対応、新型コロナ対策対応が求められる可能性が高いです。
4.本丸は高齢者介護施設ではないと知るべし
今回の「高齢者介護施設」という出題方法にはなんとなく含みがあります。本試験当日、とんでもないことが問題文に含まれうる可能性は十分あります。少なくとも高齢者介護施設については万全で臨みつつ、さらに悪意のある何かがあると考えておきましょう。
試験対策
製図試験は問題文読解し、それをエスキースしてプランを作成後、その計画の要点を書いて、1/200の図面に仕上げるという実技試験です。ひとつひとつの工程は決して難しくないのですが、変数が多くそのための複眼的思考が求められる傾向にあります。製図試験comはこの工程をステップに細分化し、反復練習することで対応する手法を構築しています。また積極的に施設見学を推しています。
1.難しい施設見学
前述しましたが、高齢者介護施設は予約した会員クラブであるため、非常に施設見学が難しいです。ですので今回は、図面でその空間をイメージする練習が必要です。
2.読解対策が要
読解については拙著「ステップで攻略するエスキース」で10段階に細分化しています。それをコツコツ習得してください。最後は読解が要になります。
3.エスキースは基準階型と3EV型がポイント
エスキースはゾーニング・コアゾーニング・プランニングの3段階に分けています。とりわけ、基準階型の進め方及び3EV型(h27タイプ)の攻略がポイントになると思われます。
4.要点対策はひな形ベースで。
弊社は国土交通省のひな形を使っていますので、それを理解していただき対応することにしています。
5.本年度は作図対策も重要
本年度は作図量がかなり多くなると予想される年度です。何度も同じ図面をトレースしてスピード感を身につけることが重要な練習方法です。
6.メンタル対策=月々日々に強り給え
本番当日対策は実は今日今から始まっています。全力で戦った者のみがメンタルで勝つことができます。
□類似過去課題
h27市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅(基礎免震構造を採用した建物である。)
h23介護老人保健施設(通所リハビリテーションのある地上5階建ての施設である。)
h11高齢者施設を併設した集合住宅
□参考過去課題
h25大学のセミナーハウス
h16宿泊機能のある「ものつくり」体験施設
参考ホームページ
<介護老人保健施設について>
<介護施設の種類について>
<住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違い>
http://kaigoshisetsu-syurui.info/service04.html