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2023令和5年課題「図書館」課題分析+オープン課題+動画公開

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↑アスプルンド設計のストックホルム市立図書館(写真撮影:アトリエハレトケ長崎辰哉氏)

令和5年一級建築士試験「設計製図の試験」の課題

課題名

としょかん

要求図書

  • 1階平面図・配置図(縮尺1/200)
  • 各階平面図(縮尺1/200)

  ※各階平面図については、試験問題中に示す設計条件等において指定する。

  • 断面図(縮尺1/200)
  • 面積表
  • 計画の要点等

建築物の計画に当たっての留意事項

  • 敷地の周辺環境に配慮して計画する。
  • バリアフリー、省エネルギー、二酸化炭素排出量削減、セキュリティ等に配慮して計画する。
  • 各要求室を適切にゾーニングし、明快な動線計画とする。
  • 建築物全体が、構造耐力上、安全であるとともに、経済性に配慮して計画する。
  • 構造種別に応じて架構形式及びスパン割りを適切に計画するとともに、適切な断面寸法の部材を計画する。
  • 空気調和設備、給排水衛生設備、電気設備、昇降機設備等を適切に計画する。

注意事項

 「試験問題」及び上記の「建築物の計画に当たっての留意事項」を十分に理解したうえで、「設計製図の試験」に臨むようにしてください。
 なお、建築基準法等の関係法令や要求図書、主要な要求室等の計画等の設計与条件に対して解答内容が不適合又は不十分な場合には、「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合」等と判断されます。
(赤文字:製図試験comによる)

Index

本年度課題分析にあたって

山口@製図試験comです。弊社が予測していた通り、公共施設であれば「図書館」であろうと考えていましたが、本当に「図書館」で出題されました。7月21日時点での課題分析をここに残しておきます。

■「図書館」

h24には「地域図書館」段床形式の小ホールのある施設である)という出題があり、図書館だけではなく、具体的に段床形式を徹底的に学習するというスタンスが組めましたが、令和に入ってからの流行りなのか、抽象的な出題名となっており、出題範囲が広そうなイメージを持たせています。

■過去の出題事例

h24:「地域図書館」段床形式の小ホールのある施設である)
H09:「緑豊かな吹抜け空間のある図書館」
平成からでは、この2課題となっています。

■出題背景

近年の図書館の複合施設化には目を見張るものがあります。ネットやスマホによって本の価値が減じている中にあって、「書籍」の持つ縦覧生がこれほど重要に思われている時代もなく、地域やコミュニティの核としての図書館、本を中心とした公共の役割、子育て支援や生涯学習の拠点、さらに利便性の高いところに求められる機能として、図書館へのニーズは高まっています。
一方で、書店は激減し、市内に書店が一軒もない状況があり、本離れの問題は国の力の根幹を揺るがすような状況であり、本を巡る位置付けには、再構築が必要とも考えられます。
加えて、新自由主義による公共サービスの削減や公務員カットは、図書館司書にも及んでおり、指定管理者制度による図書館行政のあり方も混迷しています。
結論としては、「図書館」は今、非常に重要な分岐点にあり、そういった社会背景の元、どうしようもないような図書館運営と共に、非常に意欲的な図書館も計画されており、図書館を巡る建築への期待感は大きいと言えるでしょう。

■出題意図

まず3,000m2までという出題規模から考えるとh24の地域図書館程度であろうと位置付けられます。図書館として7つくらいに分類される機能があり、それらの基本的な内容を押さえた上でまず、図書館そのものの計画が求められています。
次にサブタイトルのない「図書館」とすることにより、上記した図書館を巡る様々なニーズをどう「図書館として複合させていくのか」という点が問われていると考えられます。立地条件然り、複合条件然り。それらを網羅的に理解しつつ、どのような立地でも複合でも応えられる計画力、対応力が求められている出題だと考えられます。

学習対策

①まず図書館の基本的機能を押さえること
図書というモノの動線計画、貸出、返却動線等、図書館の持つ7つの機能を押さえましょう。また図書室のレイアウトは必須ですので、どんなレイアウトでも時間内作図できるよう準備しておく必要があります。

②複合の仕方について理解しよう
図書館が主機能となりますが、どのような施設が複合されるのかは、h24の小ホールのような指定がありませんから、考えうる全てのケースについてまとめておく必要があります。

③立地条件、敷地条件を捉えよう
図書館との複合ですが、立地条件、敷地周辺条件でその内容は変わってきます。そういった意味では、様々な図書館を見学することも重要になります。

④公共施設型のエスキース手法をマスターしておこう

R02-03-04と3年間基準階型の出題が続いており、公共施設型のエスキース手法については全くできていない方も散見されます。まずは公共施設の基本を理解し、そのエスキース手法を固めるようにしてください。その上で、図書館独特の動線がありますから、それを加えてエスキースできるようにバージョンアップしていくことが望ましいです。

⑤不可欠な作図対策
図書室レイアウトで時間を食われることが予想されるため、時間を掛けずに自由にレイアウトできることが合格への条件となります。練習量に比例するため、しっかり暗記して練習すれば、確実にスピードは上がると考えられます。

⑥要点記述にも要注意
R04昨年なら要点記述の切口が変わりました。おそらく本年度もR04の延長線上で行われることは必至と思われます。

⑦おそらく平易な出題と予想
R04とおそらく同じチームが出題することになるとすると、R04同様、非常にシンプルで平易な出題になる可能性が高いと予想しています。基本に忠実に、しかし建築計画を含む全体の底上げをして本試験準備を仕上げていきましょう。

スケジュール

―8月15日:基本を身につける
・基本的な図書館計画を理解しトレースすること
・公共施設型エスキースを理解すること
・作図手順の理解・実践

-8月末:基本を確立する
・図書館課題を実際に解いて勘所を掴む
・公共施設型エスキースを自分自身のものにする
・作図手順を完成させる

-9月中旬:弱点補強
・非図書館部分がイレギュラーな課題に取り組む
・エスキースの弱点補強をする
・作図手順の弱点補強をする
・計画の要点を補強する

-9月下旬:弱点補強2
・非図書館部分がイレギュラーな課題に取り組む
・エスキースの弱点補強をする
・作図手順の弱点補強をする
・計画の要点を補強する

―10月8日に向けて:クールダウン
・使えるモノと使えないモノの峻別とまとめ
・種々の弱点補強のまとめ
・作図手順でのミスチェックのまとめ
・体調を整えること。

以上、2023年7月21日製図試験com代表 山口達也

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