R06「大学」とは何だったのか
一級建築士設計製図試験受験の劣化が止まりません。昨年は、第二種中高層住居専用地域ではないのに「真北」が採用され、歩道なし道路からしか車椅子駐車場が取れない敷地、面積も階数も指定なし、この規模の大学で免震基礎、更に駅と駅前ターミナルに隣接する立地なのにまさかの一般利用想定なし、その上で合格率が26.6%という奇妙奇天烈な出題でした。制度として、このような試験をくぐり抜ける一級建築士が「国民の生命と財産を守る」に足り得ると考えているとは到底思えない出題でした。
ただR06は、R04やR05のオマージュ的な出題の面があり、この傾向は今年は引き継がれないと思っています。
また5月末には産学連携建築教育懇談会の取り組みに基づく建築五会(日本建築士会連合会・日本建築士事務所協会連合会・日本建築家協会・日本建設業連合会・日本建築学会)から、「国際的で魅力ある次世代の建築職能人材の育成に向けた提言」が出されています。タイミングが5月であるため、本年度には間に合わない可能性が高いですが、出題傾向はある程度変わる可能性があるのではないかと思います。
令和7年度課題予測
そのうえでですが、製図試験comなりに令和7年度問題を予測してみました。全くのアテモノなので、話1/100だと思ってくださいね。
予測するための基礎知識は下記の通り
・R06は基準階か3階建てかもわからない「大学」で出題。
・「大学」は公共施設型でもなく、これまでの基準階でもなく、大学でも学科でも扱わない施設であった
・R04のように回数がわからない基準階型として最終は出題したが、これまでのセオリーは使いにくかった
・免震基礎の突然の出題(弊社対応済み)、ツリの北側斜線、採光問題なしというダマシ入り
・令和になって、それまでほとんど隔年であった公共施設と基準階という暗黙ルールを崩してきた
・特に令和2-3-4年と3年連続基準階系出題が続いた
・令和3-4年は道路斜線の厳しい課題という古典的な出題であった
・昨年は公共施設系である図書館が出題されたが、北側斜線と道路斜線という陳腐な出題であった
・恐らく法規一発アウト課題を作りたいと思われる
・狙い目は、二方向避難、採光アウト、新規出題(廊下の排煙や非常用進入口)、斜線、延焼ライン
・基準階系にしたいところだが、R02高齢者施設、R03集合住宅、R04事務所ビルは出題済み
・残る基準階系は、h29ホテル(h20ビジネスホテル)、h25研修施設(h16ものつくり施設)のみ
・ちなみに二級建築士設計製図試験はシェアハウス、いわゆるインバウンド対象の民泊イメージ
・一級についても、インバウンド関連の出題の可能性があるのではないか
もし基準階系を出題するとしたら、ホテルか研修施設等の宿泊施設ではないかと思われます。公共施設系では、久々のコミュニティセンターとして、生涯学習センターというところでしょうか。ということでそれらをハイブリッドで出題するとすれば、国際交流センター(宿泊機能付き)あたりではないかと予想しています。
さらに昨年の大学を考えると、1)階数不明で、2)建築計画であまり学ばない、施設としては「商業施設」あたりが狙い目だと考えています(2025年7月11日現在)。
ただ本年度課題は、突拍子もない出題があるので、あくまで予想の範囲を超えませんし、全く責任なく想像しているだけですので、当たらなかったやん、ということでご容赦くださいませ。
過去問タイトル+特徴一覧
本年度対策にあたり、弊社が過去問として所有している昭和54年までの課題を一覧としています。
年度 | 製図試験課題 | 基準 | 公共 | R07 | 特徴一覧 |
R07 | ? | ? | ? | ||
R06 | 大学 | ● | ◯ | 面積・階数指定なし 免震基礎、採光縛りなし 駅前立地で一般利用なし | |
R05 | 図書館 | ● | 北側斜線・道路斜線 管理部門指定なし | ||
R04 | 事務所ビル | ● | 面積・階数指定なし 道路斜線 | ||
R03 | 集合住宅 | ● | 面積指定なし 道路斜線 | ||
R02 | 高齢者介護施設 | ● | 四面楚歌敷地 | ||
R01 | 美術館の分館(本試10/13) | ● | 本試・追試差分析必要 | ||
美術館の分館(追試12/08) | 建築物はほぼ同条件 | ||||
h30 | 健康づくりのためのスポーツ施設 | ● | 小学校内敷地+プール 突如問題文A2に変更 法規出題スタート | ||
h29 | 小規模なリゾートホテル | ● | レベル差・名峰 | ||
h28 | 子供・子育て支援センター(保育所、児童館・子育て支援施設) | ● | 6×5部門構成・上下足 | ||
h27 | 市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅(基礎免震構造を採用した建物である。) | ● | 6×3免震基礎 | ||
h26 | 温浴施設のある「道の駅」(本試・沖縄県のみ追試) | ● | 2階建勾配屋根・4面アプローチ・梁伏図終了 | ||
h25 | 大学のセミナーハウス | ● | 2階建て勾配屋根・余る敷地・梁伏図 | ||
h24 | 地域図書館(段床形式の小ホールのある施設である。) | ● | 2階建てアプローチ部門構成・梁伏図 | ||
h23 | 介護老人保健施設(通所リハビリテーションのある地上5階建ての施設である。) | ● | 4平面図狭小敷地 梁伏図 | ||
h22 | 小都市に建つ美術館 | ● | 2階建て4面アプローチ 梁伏図 | ||
h21 | 貸事務所ビル(1階に展示用の貸スペース、基準階に一般事務用の貸スペースを計画する。) | ● | 新試験制度 h26まで梁伏図あり | ||
h20 | ビジネスホテルとフィットネスクラブからなる複合施設 | ● | 5EV2Escプール基準階Pデッキ・最難課題 | ||
h19 | 子育て支援施設のあるコミュニティセンター | ● | 見渡すVS見下ろす・南北最小 | ||
h18 | 市街地に建つ診療所等のある集合住宅(地下1階、地上5階建) | ● | 地下駐車場 | ||
h17 | 防災学習のできるコミュニティ施設 | ● | 既存建築物+木・立面図 | ||
h16 | 宿泊機能のある「ものつくり」体験施設 | ● | 屋外自由通路・最難課題 | ||
h15 | 保育所のある複合施設 | ● | 3部門アプローチ+上下足 | ||
h14 | 屋内プールのあるコミュニティ施設 | ● | 部門構成・2階プール | ||
h13 | 集合住宅と店舗からなる複合施設(3階建) | ● | プラザ・モール・ビスタ | ||
h12 | 世代間の交流ができるコミュニティセンター | ● | 1.5mレベル差・時間利用・2階建て | ||
h11 | 高齢者施設を併設した集合住宅 (高齢者施設については、デイサービス(日帰り介護)及び ショートステイ(短期入所生活介護)を行う施設である。) | ● | 道路斜線・3部門構成 | ||
h10 | 多目的ホールのある事務所ビル | ● | オープンスペース初出題 | ||
h09 | 緑豊かな吹抜け空間のある地域図書館 | ● | 変形敷地 | ||
h08 | 景勝地に建つ研修所 | ● | レベル差 | ||
h07 | 市街地に建つコミュニティセンター | ● | 阪神大震災・防災機能 初BF法・山口合格年 | ||
h06 | 地方都市に建つ美術館 | ● | 変形敷地・2階建て 山口初受験 | ||
h05 | メゾネット住戸のある集合住宅(3階建) | ● | 当時の最難課題 | ||
h04 | アトリウムと小ホールをもつ地域図書館 | ● | |||
h03 | シティホテル | ● | 地下駐車場 | ||
h02 | 地方公共団体の庁舎 | ● | 唯一の庁舎 | ||
h01 | 小ホールをもつ児童センター | ● | 時間利用 | ||
s63 | リゾートホテル | ● | 変形巨大敷地+レベル差 | ||
s62 | 店舗などの施設のある市街地共同住宅 | ● | |||
s61 | 集会施設をもつ郷土資料館 | ● | 2階建て | ||
s60 | 研修施設 | ● | |||
s59 | 健康づくりのための屋内運動施設 | ● | 2階建て | ||
s58 | 居住施設 | ● | |||
s57 | 商業施設 | ● | 2階建て | ||
s56 | 海岸の景勝地に建つ保養所 | ● | 2階建て | ||
s55 | 小ホール(約200席)、展示場、中庭よりなる文化施設 | ● | 唯一平屋 | ||
s54 | 地方都市に建つレストランつき中規模事務所 | ● | |||
s53 | 幼稚園 | ● | 2階建て・レベル差 |
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