建築計画の5原則

合格のために
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建築計画5原則

そもそも一介の建築士が、建築計画の5原則なんていうのは、おこがましい話、片腹痛い話です。ですが、ガイドラインがないので、エスキースで迷ったときに拠り所になる根拠が必要になるはずと考え、これまでの製図試験指導の経験から作り上げたものがこの5原則です。
そもそもは、建築的常識としてなんとなく片付けられていた話なのですが、建築設計を行っていない非意匠系の方にとっては、この建築的常識という概念が本当に壁になっていました。実際は、近代建築を成立させてきた機能主義に基づいており、下記のように明文化しました。
ただ前提として(製図試験に出題される公共施設系の)建築計画の5原則という枕詞が付きます。

  1. 建築計画的によい建築物とは、1)利用者が迷わずに使いやすく(つまりわかりやすい)、2)施設管理者が管理しやすい 建築物である。
  2. 使いやすい建築物とは、1)動線はできるだけ短く、2)異なる利用者属性をできるだけ早く分離している 建築物である。
  3. 管理しやすい建築物とは、1)必要最小限の出入口としてその出入口が視認でき、2)廊下のクランクが少なくブラインド(死角)が少ない 建築物である。
  4. 動線には次の4つのプライオリティ(優先順位)がある。
    ①属 性>サービス事業者
    :多い>少ない
    ③頻 度:多い>少ない
    ④特定度:不特定者の利用>予約・会員利用
  5. 建築物の形状・配置は、バランスが取れていることに配慮する。

具体的な事例

なんか探しておきます。(資料作成中)

例外的な建築物

■回遊性を求める商業施設

2.の使いやすい建築物の解説「動線はできるだけ短く」については、回遊性を求める商業施設ではむしろ動線をわかりにくくしたり、欲しいものを一番奥に計画することで動線を長くさせたりします。店内での滞在時間と売上げに相関関係があるためです。
ビレッジバンガードやドンキホーテ、百貨店のゲームコーナーや飲食店などがそれらに当たります。モノを販売するという「機能」と考えれば、店内の滞在時間を長くするために動線を引き回すというのは、非常に機能主義的なのですが、使い勝手よりも売上げを意識させるのは商業施設のみとなります。

■ドラマチックな空間の商業施設

製図試験では出題されたことはありませんが、空間構成にドラマを持たせる意味で、長いアプローチとしたり、象徴的な空間構成にするケースがあります。槇文彦先生の青山スパイラル等がその事例です。まぁ製図試験で出題されるようなことはありませんが、サイドインのアプローチを採用する場合にこの考え方を使うことはあります。

■自ら歩行しない利用者が使う高齢者施設

この建築計画の5原則は(製図試験に出題される公共施設系の)という枕詞が実は付いています。公共施設系の建築物の宿命は、不特定多数の住民が利用することが前提ということです。ところが高齢者施設での利用者は会員登録している高齢者であり、介護事業者によって送迎されています。利用者が特定者に限定されているため、不特定利用者用の原則は不要になります。動線の主体も介護従事者となり、介護従事者が使いやすいことが重要になります。

■集合住宅

集合住宅はさらに利用者は特定どころか、個人であり、完全に私的空間です。そのため、不特定者への配慮はほぼ必要ありません。利用者は「出入口がわかりやすいように」歩道付き道路の中央からアプローチするというのもそれほど重要ではありません。h11の「高齢者施設を併設した集合住宅(高齢者施設についてはデイサービス(日帰り介護)及びショートステイ(短期入所生活介護)を行う施設である。)」では、施設系は歩道付き道路から、集合住宅は歩道なし道路からアプローチさせて、動線分離する解答例もあったほどです。
R03の集合住宅についても、テナント部門と住宅部門での動線分離がテーマになっていますが、弊社解答例は歩道付き道路からテナント部門、歩道なし道路から住宅部門アプローチとしました。

「原則」に嫌悪感のある試験作成者

製図試験作成者としては、一介の民間業者に「原則」を語られるのは嫌悪感しかないと感じています。本来、原則で計画されている建築物は減点しにくいため、それが通用しないような建築物がR02/R03と出題されました。またH30/R01では、歩道付き道路の中央からアプローチさせるということをさせないような出題でした。これらは決して偶然ではないと思っています。
ですが実際の指導は、原則前提で本年度の特殊性を解説しているわけですから、むしろ原理原則で縛られすぎている受験生は本校生ではほとんど存在していません。そういう意味で上記の5原則を外してこようとしても外せるわけもなく、かつ本年度試験の特殊性は解説するわけですから実は何の問題もないということにもなります。
試験作成者側のミス誘導で不合格になってしまうのは、結局、原則に縛られすぎているステレオタイプの受験生だけということになります。

製図試験ローカルルール
計画に迷ったときは、建築計画の5原則に立ち戻ること。
ただし本年度課題の特殊性については十分配慮する必要がある。

参照:ステップで攻略するエスキース P69

関連ルール

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