07 用語定義:吹抜け面積問題

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吹抜け面積には法的定義がない。

建築基準法には床面積の定義はあっても、吹抜け面積の定義はありません。また法的に吹抜けの定義もありません。そこで出てくるのが「上部を吹抜け(面積適宜)とした場合の吹抜け部分とその面積をどう考えればよいのでしょうか。

吹抜けとは

製図試験に出題される言葉の定義については、三省堂の「建築辞典」が基本になっていると言われています。ここでは「吹抜け」の定義が2点あります。

1)上部の床が抜けていること。 2)垂直な空間であること。

1)床が抜けていること、これについては、風除室上部は2FLの床高さ以下にして必ず床が抜けている状態としてください。
2)垂直な空間であること、については特に風除室上部等をどう判断すればよいのか非常に曖昧です。そして、建築辞典にも吹抜け面積の定義はありません。そこで過去問題で出題と標準解答例を見比べれて分析するしかなさそうです。ところがこれまで標準解答例でエントランスホールの風除室上部のある解答例がほとんどなく、またあったとしても吹抜け(面積適宜)であったため、その定義の詳細は不明でした。

吹抜けの開口面積と吹抜け面積

しかし令和元年の「美術館の分館」の本試験・追試試験では共に要求室項目に「吹抜け」のみでの出題がありました。これは過去例がなく初めての出題です。3層吹抜けであるため、下屋は2階吹抜けに出てくる可能性がありましたが、標準解答例では、本試験は風除室上部、追試試験では受付上部が吹抜け内の下屋として扱われています。
面積の定義が不明だった吹抜け面積にひとつの回答をイメージするものとなっています。JAEICも、吹抜けについて明確にしておきたかったのではないかと推測しています。

令和元年10月13日本試験
問題文と標準解答例の一部

スパンは東西7m南北6mで42m2。
吹抜けの開口面積も42m2
(3階も開口面積は42m2)

令和元年12月8日追試試験
問題文と標準解答例の一部

スパンは東西7m南北7mで49m2で受付は2mx2m=4m2。
吹抜けの面積は49-4=45m2
(3階は下屋がないので49m2)


結論

これを持って、吹抜け論争は終止符を打ちます。

吹抜けの範囲は床が抜けている部分とし、下屋部分(風除室上部)も吹抜けとする。
吹抜けの開口面積=吹抜け全面積
単に吹抜けの面積=下屋を除く部分の面積
とする。

2023年4月20日

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