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大木と雁

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とある高僧が木こりに尋ねた。
「なぜこの立派な大木を切らないのか」
「大きすぎて役に立たないんですよ」と木こりの一人が言った。
「役に立たないおかげで生き延びることができるのだ」

逆に木こりが質問した。
「二羽の雁のうち、一羽はよく鳴き、もう一羽は鳴きません。どちらを処分したらよいのでしょうか」
「鳴けない方を処分しなさい」

木こりは重ねて聞いた。
「大木は役に立たないから生き延びることができたが、雁は役に立たないので処分した方がよいということですが、お坊さんは、役に立つ立たないのどちらが正しいと思っているのですか」

高僧は笑いながらこう答えた。

「私は、役に立つ、立たない、の中間でいようと思う。そして中間もまた偽物だ。だから災難を逃れることができない。
しかし無為自然の道に従っていくならば、人に褒められることもなく、また非難されることもなく、竜になって空を飛び、蛇となって地に潜る。時の流れと共に変化して自分勝手には動かない。調和を原則として、万物の根源に遊び、何者にも支配されない。
そうありたいものだと思う。」

無為自然の道?

これは道教の教えの一場面です。役に立つ、役に立たない、役に立つとか立たないの中間、全部ダメですよ、そういう視点ではない、もう一歩上のメタ視点=無為自然の道をめざすべきという話です。
これを製図試験的に読みましょう。


試験勉強は最短距離がベストなのか。

一発で逆転できるとか、3週間で合格するとか、試験勉強は不毛なものでやりたくないものなので、最短の時間で最短の距離で合格することがベストだと考えている風潮があります。役に立つことだけを理解し、あとは全てノイズ。これが短時間で勉強しつつ、成果を上げる最も効果的な役に立つ手法です。
ですからどんどんその効率、効果を上げるべくのインフレがはじまります。3週間で合格できるよりも、2週間で合格できる手法のほうが優れているということになるため、効率よく勉強することになれている方にはそちらを選択することになるからです。

建築の仕事はノイズとの戦い

ところが建築設計の実務の多くは、ノイズとの戦いです。9割段取りで1割設計、みたいな感じ。でも9割の段取りをしている最中に設計をしている方と単に段取りだけしている方に分かれるんです。
これはどういうことかというと、しょうもない雑用は効果的でも効率的でもないので誰かに任せて、一番重要な部分だけをやればよいという効果的な手法が好まれていることから起こるのですが、要は重要な部分だけがしたい方にとっては、それ以外は作業になっているわけです。ところが、作業は必要なので作業になっているのであって、不要なのではない。それがわかっている方とわかっていない方の差は大きい。

アンテナを広げて柔軟に学ぶべし

もちろん全てが見えていれば、その本丸の部分だけを狙い撃ちすればいいのですが、できるだけアンテナを広げて、製図試験について柔軟に学ぶことが望ましいと製図試験comでは考えています。

無用の用を理解していろんなことに興味を持ちつつ学習する姿勢。
その姿勢自体が最も大きなあなたの財産だと考えています。

この前半戦(1月~7月)の時期は特にそういう学習ができる唯一の時間です。

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