山口@製図試験comです。
■結果としての多数派ならわかるが・・・。
製図試験でよく使われる多数派。迷ったときは多数派につけばいいという戦略。ハッキリしておきたいんですが、私はこの言葉がどうもダメです。
建築士として劣化していくしくみとしか思えません。
そういう判断で一級建築士になってほしくないと願っています。
昨日は某大学の学生のプレゼンテーション講評を行いましたが、その時伝えた話も「ものつくりは多数派を狙うな」という内容でした。
「あなた方は将来、白紙で何もないところから、あなたの線で指示でモノを作る仕事に就く可能性が高い。その時に、もちろん過去はどうであったか、よく使われている材料や工法はなんであったか、という確認は非常に重要ですが、ちゃんと裏をとること、意味を理解して判断していくことはもっと重要です。
みんながやっているから過去からそうだから(つまり多数派だから)という理由で、モノの形を決める仕事はしてもらいたくないし、そういう建築士やデザイナーにはなってほしくないです」
と伝えました。
あなたが考えて判断した結果が、多数派に属するのであれば、それは別に構わないと思います。ですが、その逆つまり、多数派だから正しいのであろうというのは、建築をする者の死を意味していると思っています。
手段と目的が倒置すると必ず大きな痛手を食らいます。
多数派判断を身につけて合格した方は必ず次の山場でも同様のクセがついてしまいます。お願いですから、計画するプロセスとその結果としてのプランの判断を倒置しないようにしてください。
多数派から逆算しないことで合格率が下がったとしても、その方法がもつ恐ろしさは、その方の生涯に渡る話なので、私としては譲れない部分でしたのでお伝えしました。
■1208再現図で多目的ホールが圧倒的多数だった。
製図試験comでは、多目的ホール案を1階案と2階案で計画しました。1013版の残像なのか、ゾーニングにシビアすぎるのか、再現図では、多目的ホールは1階案が圧倒的に多かったです。
プランバランスから考えると、多目的ホールは2階の方がきれいにまとめられます。もちろん1階でもプランはまとめられますが、2階の方がきれいにまとまる。不思議な話ですが、少数派の方がプランがきれいにまとまったわけです。
今年から特に重点的に製図試験comがみなさんと考える「試験作成サイド悪意説」。つまり1013版では多目的展示室が1階であったことからその残像を狙って多目的ホールは2階で出題してきたのではないかと考えています。
事実、多目的ホールを1階に計画すると2階が非常に厳しい(入らないことはないですが)。そういう設定であったと考えられます。
■論理的整合性が問われる。
結局、1階でも2階でもプランはできるのですが、重要なのは「論理的整合性=つじつま」が合っているかです。
例えば多目的ホールで天井吹き出しの図面になっているのに、平面図にDSがないのはダメですよね。
逆に、少数派ですが多目的ホールで床吹き出しにしている答案がありましたが、この場合はDSはほとんど出てこないし、それでOKなわけです。DSがあるかないかではなく、なぜDSが必要かということとその論理的整合性が合っていれば答案として減点はできません。
今回はちょっと厳しいことを書きましたが、多数か少数か=みんなやっているかどうか、ではなく、問題文が問うていることをあなたの経験と学習から判断すること、それが結果として多数になれば尚良い、少数であっても論理的整合性が成立していることが重要、というお話でした。
合格することが最も大切なのはわかるんだけどね。それはダメです。