建築物の顔、メインアプローチ
「建築計画の5原則」を思い出してください。ここで重要なのは、「初めて訪れる不特定多数」の利用者にもわかりやすいことを重視しています。

メインアプローチは建物の横から、つまりサイドインでもよいですよね? 世の中には多くのサイドインの建物がありますし。
という質問を受けます。もちろんサイドインでも構いませんが、初めて訪れる不特定多数の利用者にとっては、わかりにくい見つけにくいアプローチとなります。
=減点対象という判断です。
ですから、施設のメインの入口は誰もがわかりやすい位置=幅員の広い歩道付道路の真ん中からメインアプローチを計画する=減点ができないということになります。
逆に、誰もがわかりにくい位置=幅員の狭い歩道なし道路の隅からしかもサイドインでメインアプローチを計画する=減点ができる、ということです。
ですが、それ以上でもそれ以下でもありません。
したがって、施設のメイン機能でない50m2程度のカフェ入口の位置は多少わかりにくくても小さな減点だと考えています。
指定のないアプローチ設置は「いらんことしぃ」

公園からも出入口を設けた方が気持ちいいなと思って・・・。
こういう答案を描く人を大阪では「いらんことしぃ」といいます。標準語でいうと「要らないコトをする人」のことを指します。要求されていないことは極力やらない方がよいです。理由は問題文の読み間違いなのか、計画できなかったのかがわからないからです。
指定されたこともできないのに、不必要なことには良く気がつく。これ、読解をイメージでやってちゃんと読んでないようにみえるもので、あまり受からせたくないタイプと思われます。

駐車場が離れてしまったので気を利かせて別入口設けました。
これも一見計画的に配慮している風ですが、なんのことはない駐車場が納まっていないだけです。ミスの上塗りのようなモノ。本来であれば、メインアプローチ近くに駐車場を計画して、同じ出入口とすべきです。
また、出入口が多くなるほど、セキュリティレベルは下がると考えています。計画上仕方なく出入口を増やさねばならない場合は、事務室等からその出入口が視認できる、もしくは前を通らないと各室に行けないようにプランすることが望ましいです。
利用者とは誰か問題
さてR03の集合住宅の問題です。集合住宅の主たる利用者は、公共施設のように不特定多数の人ではありません。つまり集合住宅のアプローチに「わかりやすさ」はそれほど必要ない、もしくは多少わかりにくくても大きな問題はない、というように考えることもできます。そういう意味では学習塾についても同様のことが言えます。R03本試験で不特定多数の利用者のために東側歩道付道路からアプローチすべきだったのは、カフェだけと言うことになります。
「集合住宅」という課題名でしたし、それがメインの機能で利用者がいることを考えると、集合住宅のアプローチは、東側の歩道付道路側でももちろん構いません。ただ西側歩道なし道路からアプローチを計画する場合は、道路への飛び出し等の安全上、出入口はある程度セットバックしておくことが必要です。
いずれにせよ、利用者属性や使い方を考えた上で、機能的かつ合理的なアプローチを設定するということが不可欠です。
ローカルルール独自採点基準
21:メイン アプローチ | x:状態 | x:減点 |
2104 | 0:未完 | 4:失格(アプローチ抜け) |
211x | 1:オーバー | 1-3:多いとセキュリティ↓、計画が下手 |
212x | 2:アンダー | 1-3:重要でないアプローチの抜け、目地表現抜け等 |
213x | 3:内容ミス | 1-3:指定されたアプローチでない計画 |
2134 | 3:内容ミス | 4:指定されたアプローチでない致命的なミス |
214x | 4:表現ミス | 1-3:△▲マークミス、わかりにくい目地表現 |
215x | 5:配置ミス | 1-3:アプローチ位置の間違い、遠い、わかりにくい、サイドイン |
216x | 6:理解不足 | 1-4:アプローチに対する考え方がまだできていない |