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令和8年一級建築士試験「設計製図の試験」課題「ホテル」課題分析

フランク・O・ゲーリーデザインのホテル「マルケス・デ・リスカル」
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講師:山口の所感

もう階数が不明が定番となりましたね。ホテルは、過去問でh29「小規模なリゾートホテル」h20「フィットネスクラブとビジネスホテルからなる複合施設」h04「シティホテル」以来となります。
ホテルとすることにより、リゾートなのか、シティホテルなのか、ビジネスホテルなのかは絞れない出題となっています。どんなタイプでも対応できるようにホテルの基本を押さえつつ、攻略していく必要があります。

発表された課題内容

令和8年一級建築士試験「設計製図の試験」の課題

「ホテル」

要求図書(1/200)

 1階平面図・配置図、各階平面図(※階数は問題中で指定)、断面図、面積表、計画の要点等

建築物の計画に当たっての留意事項

  • 敷地の周辺環境や既存建築物の現状保存に配慮して計画する。
  • バリアフリー、省エネルギー、二酸化炭素排出量削減、セキュリティ等に配慮して計画する。
  • 各要求室を適切にゾーニングし、明快な動線計画とする。
  • 大地震等の自然災害が発生した際に、建築物の機能が維持できる構造計画とする。(本年度はなし)
  • 建築物全体が、構造耐力上、安全であるとともに、経済性に配慮して計画する。
  • 構造種別に応じて架構形式及びスパン割りを適切に計画するとともに、適切な断面寸法の部材を計画する。
  • 空気調和設備、給排水衛生設備、電気設備、昇降機設備等を適切に計画する

注意事項

「試験問題」及び上記の「建築物の計画に当たっての留意事項」を十分に理解したうえで、「設計製図の試験」に臨むようにしてください。 なお、建築基準法等の関係法令や要求図書、主要な要求室等の計画等の設計与条件に対して解答内容が不適合又は不十分な場合には、「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合」等と判断されます。

俯瞰して「ホテル」を考える

「ホテル」の出題背景

コロナ禍後、日本では訪日外国人旅行者数が回復・増加し、宿泊施設の需要が高まっています。ホテルは現在の建築市場でも重要な用途の一つです。また宿泊施設の建替え需要が高まっています。全国で、老朽ホテルやビジネスホテル等の更新が続いています。つまり、実務でも設計機会が多い用途の建築物が「ホテル」です。

ホテル建築の特徴

ホテルは、おおよそ3つのタイプに分けられます。それぞれ以下のような特徴がありますが、本試験当日どのタイプが出題されるかはまだ絞れませんので、全てのタイプを学んでおく必要があります。
いずれも宿泊施設ですが、目的が異なります。そしてそれはリッチに大きく影響を与えています。

項目リゾートホテルシティホテルビジネスホテル
立地海・山・温泉・観光地駅前・都心・業務地区駅前・幹線道路・IC周辺
利用目的滞在・休暇観光・ビジネス・宴会宿泊中心
宿泊日数2~3泊以上1~2泊1泊が中心
客室広め・景観重視標準コンパクト・高効率
客室割合70~80%60~70%80~90%
ロビー広い・リゾート感広い・格式重視必要最小限
レストラン複数・大規模複数・宴会対応朝食中心
宴会場少ない~中規模大規模になりやすいほとんど不要
ラウンジ景観重視ビジネス対応簡易
大浴場・温浴設けやすい必要に応じてある場合もある
屋外施設庭園・プール・テラス広場程度ほぼ不要
駐車場多い中程度比較的少ない(都市部)
荷さばき中程度大きい小さい
サービス動線複雑最も複雑比較的単純
一般利用者少ない非常に多い少ない
景観計画最重要重要比較的小さい
客室基準階変化しやすい整形最も反復性が高い

立地:敷地の周辺環境や既存建築物の現状保存

初めて、留意事項に「既存建築物の現状保存」という文言が含まれました。既存建築物が出題されるという含みが残されていますが、敷地内にあると判断するのは少し早計かとも思います。
また現状保存という文言も初出題ですが、改修や改築ではないのかどうかももう少し様子を見る必要があります。
ただ本年度は「敷地の周辺環境や既存建築物の現状保存」がポイントになることは間違いと判断できるでしょう。

建築物:2平面で2階建、3平面で3階建、基準階型、4平面は可能性のみ

出題パターンとしては、

  • 3平面、3階建て
  • 3平面、基準階型(4-7階建て・1階/基準階/最上階)
  • 4平面、1/2/3階+基準階

の3パターンがあり、本命は3平面基準階型と思われますが、念の為すべてやっておく必要があると思われます。

注意すべきその他の部分

□法規:ホテルは、二方向避難と道路斜線には要注意です。
□構造:純ラーメン程度 ・杭基礎は準備必要
□設備:空調は一部単一ダクト方式・各階単一ダクト方式・HPが非宿泊室階、宿泊室階は、ファンコイルユニット・外調機・HPがあります。EVは利用者用2基、サービス1基の可能性があります。
□省エネ・再エネ:ZEB参照

攻略ポイント

3つの「ホテル」の共通項を押さえること

上記分析に基づき、製図試験というA2用紙に6時間30分で表現可能な「ホテル」という課題の攻略としては、まずリゾート、シティ、ビジネスホテルそれぞれの共通する機能を押さえることから始めてください。
次に異なる機能を整理していきます。軸はシティホテルで考えるとよいでしょう。

ホテル共通計画:客室・動線・コア・バックヤード

・客室基準階の作り方
・ロビー・フロント・バックヤード計画
・サービス動線とセキュリティ
・シティホテル特有の施設計画
・ビジネスホテル特有の施設計画
・リゾートホテル特有の施設計画

「ホテル」の特徴

製図試験comでは前半戦で公共施設を中心に宿泊機能のある課題を行ってきましたが、「ホテル」は、基本的には商業施設です。
利用者は宿泊客と非宿泊客とに分かれます。
管理サービスでは、フロント機能とバックヤード機能があります。原則、管理サービスゾーンに利用者が入ることはありませんがビジネスホテル等は空間ではなくチェックアウトからインの時間を使った時間ゾーニングをします。
動線として、利用者だけではなく、リネンや諸サービスがあり、物が動く動線の把握が不可欠です。

計画の要点問題

商業施設であること、既存建築物の現状保存が関わってくること、そして何より本年度から法令集が持ち込みになることという3つの特異点があり、本年度の計画の要点は合否に関わる重要な採点ポイントになると思われます。
その点を押さえれば逆にチャンスもしっかりあると考えられます。

予想問題

これらの分析から、7月24日の段階で予想される本試験予想は下記の通りです。
またオープン課題として、一般公開する問題を本日中にアップします。予想屋ではありませんが、この方向性に出題可能性を感じています。
ただファーストインプレッションですから、そういう感じなのかなぁくらいでご覧いただければと思います。

併せて過去問題は参考にしておいたほうがよいでしょう(s61,s63,h04,h17,h20,h29)

A:近代建築の結婚式場教会が残る敷地のシティホテル

敷地の一部に近代建築の結婚式場が残っており、これと繋ぐ形でシティホテルの建て替えが要求されている課題です。
敷地はL型利用だったり、凹型利用だったりする可能性があります。
近隣商業地域で7階建て、周りの景観を配慮しつつ、計画することになります。結婚式ー宴会場(バンケットルーム)という非宿泊者機能と宿泊機能が同時に求められるイメージです。

B:変形敷地でのビジネスホテル

近年のAホテルの躍進の多くは、整形ではない敷地を上手く利用して詰め込むことで土地を最低限で仕入れるという手法を駆使したものです。そのような変形敷地を有効利用してビジネスホテルを作るという手法をどこまで国土交通省が推奨しているのかは不明ですが、既存建物が敷地外にあり、その関係性に配慮しつつ計画するという、過去に一度もなかった変形敷地課題になる可能性があります。

C:温泉での建て替えリゾートホテル

インバウンドによる温泉への期待が高まる中、従来の温泉旅館ではなく、リゾートホテルとして建て替えるリノベーション需要を掘り起こすイメージの課題です。h29では段差敷地がメインでしたが、どちらかというと既存の由緒ある旅館を既存建築物として残しつつ、建て替えること、既存建築物との関係性を問うリゾートホテルの可能性はあります。

以上、7月24日18時「ホテル」課題についての課題分析でした。

製図試験com代表 山口 達也

オープン課題(ver.260724)

別ページにまとめています。ここをクリック。

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