合格するためには、ステップ化・細分化・パーツ化・差異視点を武器にすること
一生懸命問題を解いているのに、なぜか習熟していかない。前回はうまくまとまったのに、今回は時間も足りず、プランも崩れてしまう。そんな経験はありませんか。
一級建築士設計製図試験では、努力量そのものはもちろん大切です。しかし、ただ課題を解き続けるだけでは、実力が安定しにくいことがあります。特にエスキースは、毎回の判断が複雑に見えるため、自分でも「何ができていて、何ができていないのか」が見えにくい分野です。
結論:情報処理は「分けて、順番に、比べる」
情報処理のコツは、ステップ化して、細分化し、パーツ化することです。そしてもう一つ重要なのが、課題ごとの差異を処理する視点を持つことです。
設計製図試験の課題文には、多くの条件が含まれています。要求室、面積、動線、部門構成、敷地条件、設備、構造、屋外条件など、読むべき情報は多岐にわたります。これらをその場の感覚で処理していると、課題ごとにエスキースのやり方が変わってしまいます。
逆に、処理の順番と見るポイントが決まっていれば、課題が変わっても自分の作業を再現しやすくなります。これが、短期間で合格レベルに近づくための大切な土台です。
なぜ「できたり、できなかったり」が起こるのか
多くの受験生は、とても真面目に問題を解いています。時間を計り、課題文を読み、エスキースをし、図面を描く。その姿勢は素晴らしいものです。
ただし、漫然と解いていると、毎回エスキースの進め方が少しずつ変わります。ある日はゾーニングから考え、別の日は面積から考え、また別の日は動線の不安に引っ張られる。すると、うまくいった理由も、失敗した理由も特定しにくくなります。
原因が特定できなければ、弱点補強もできません。結果として、「問題数はこなしているのに、安定しない」という状態に陥ります。これは能力不足ではなく、情報整理の型がまだ固まっていないだけの場合が多いのです。
よくある失敗パターン
エスキースが安定しない受験生には、いくつか共通する傾向があります。
- 課題文を読むたびに、注目する場所が変わってしまう
- 要求室や条件を拾っているつもりでも、優先順位が整理できていない
- 苦手な部分が「なんとなく苦手」のまま残っている
- 時間がかかる原因を、作図なのか、計画なのか、読み取りなのか分けられていない
- 過去の失敗を、次の課題に活かす形で記録できていない
特に注意したいのは、「解いた課題の数」がそのまま実力になると思い込んでしまうことです。もちろん演習量は必要です。しかし、試験で問われているのは、初見の課題に対して条件を整理し、制限時間内に成立する建築計画へ変換する力です。
そのためには、ただ解くだけでなく、自分の処理を分解して見直すことが欠かせません。
本番で意識したい処理の流れ
本番では、特別なひらめきに頼るよりも、いつもの手順を淡々と実行することが重要です。情報整理の基本は、次のように考えると扱いやすくなります。
- ステップ化:課題文の読み取り、条件整理、ゾーニング、面積調整など、作業の順番を決める
- 細分化:うまくいかない原因を「読み取り」「配置」「動線」「面積」「時間」などに分ける
- パーツ化:頻出する計画要素を、自分の中で使える部品として整理する
- 差異の確認:いつもの課題と今回の課題で、何が違うのかを早めに見つける
たとえば、毎回同じように見える公共建築の課題でも、利用者の属性、管理部門の扱い、屋外スペースとの関係、上下階のつながりなどに違いがあります。この差異に気づかず、過去にうまくいった型をそのまま当てはめると、条件不整合が起こりやすくなります。
一方で、すべてを毎回ゼロから考える必要もありません。考えるべき部分と、あらかじめ整理しておく部分を分けることが、試験時間内に安定した答案へ近づくポイントです。
最後に確認したいチェックポイント
演習後や本番前には、次の点を確認してみてください。
- エスキースの手順は、自分の言葉で説明できるほど整理されていますか
- 不明な点、苦手な点は具体的に言語化できていますか
- 時間がかかる部分について、克服方法を決めていますか
- 何をその場で考え、何を事前に暗記・定着させるのか理解できていますか
この確認ができるようになると、演習の質が変わります。課題を解くたびに、単なる成功・失敗ではなく、「どのステップで止まったのか」「どの条件処理が甘かったのか」が見えるようになります。
製図試験の学習で大切なのは、できなかった自分を責めることではありません。できなかった原因を小さく分け、次に直せる形へ変えることです。その積み重ねが、安定したエスキース力につながります。
体系的に鍛えたい方へ
製図試験.comでは、山口式の考え方をベースに、初学者にも再受験生にも扱いやすい学習の型を大切にしています。特に情報整理は、早い段階で身につけるほど、その後の演習効果が高まります。
製図試験LABでは、ステップエスキーステキストをベースに、ステップ化・細分化・パーツ化・差異を発見する視点を鍛える教材と方法を用意しています。
「毎回エスキースのやり方が変わってしまう」「できたりできなかったりする原因を知りたい」「弱点補強の仕方を身につけたい」という方は、まずは自分の情報整理の型を見直してみてください。そこから、合格に向けた学習は大きく前進します。
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